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LivePocketが実現した、予想困難なピーク時の安定運用とデータベースコスト50%削減

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LivePocketは、コロナ禍以降の急成長とともに、人気キャラクターやアイドル関連のチケット販売に殺到するアクセスへの対応という課題に直面していました。設備の増強だけでは解決しきれないこの課題に対し、同社が選んだのが Queue-it の仮想待合室です。今回はQueue-it導入の背景となった課題から、独自運用の工夫、導入後に得られた効果までを伺いました。

50%

Queue-it導入によるデータベースコストの削減率

1000+

各チケット販売で処理されるビジター数

「誰でも、すぐに」。スマフォベースの電子チケットプラットフォーム

LivePocketは、スマートフォンをベースにした電子チケット販売プラットフォームです。約10年前のサービス開始以来、個人から法人まで幅広い主催者が利用できる電子チケットプラットフォームとして成長してきました。

従来のプレイガイドでは、チケットを販売しようとすると、主催者登録に始まり、場合によっては審査、取引口座の設定と、参入までに時間がかかります。これに対し、LivePocketでは、法人だけでなく個人事業主や個人でも利用でき、登録してすぐに販売を開始できます。

手数料も、基本一律5%とシンプルです。有料チケットだけでなく無料チケットにも対応し、無料の場合は購入者・主催者のどちらにも料金は発生しません。

扱うチケットの多くは、エンターテインメント領域。アイドルのライブチケットや、キャラクターのポップアップショップ・コラボカフェの入場整理券などで広く利用されています。

同社システム開発グループ リーダー(取材当時)の五十嵐亮裕氏によると、LivePocketで働くメンバーは、音楽を中心に「夢中なもの」を持っている人が多く、それぞれの関心領域が、サービス運営への原動力になっているといいます。

「洋楽ロックが好きな人もいれば、アニメやゲームが好きな人もいる。LivePocketの仕事を通してそうしたエンタメ事業を支えることが、巡り巡って自分の好きなことを支えることにもつながっているのだと日々実感しています。」

 

便利さゆえの、負荷予測の難しさ

転機となったのは、コロナ禍を経た急成長でした。それ以前のチケット業界では大手プレイガイドが強い力を持っていましたが、コロナによりイベント事業が収縮。その後の再開局面で、手軽で手数料も分かりやすいLivePocketが注目を集め、一気に利用が拡大します。

そんな中、主催者を問わず、誰でもすぐに販売を開始できてしまうというメリットがそのまま運用の難しさに直結したと言います。

「主催者にとっては使い勝手が良い反面、私たちシステム担当からすると、どのイベントが話題となり、負荷がいつ・どのページに来るのか予測しづらい。運用する側にとっては非常に難しい特性でもあるのです。」

特に著しいアクセス集中をもたらしていたのが、人気IPのポップアップショップにおける入場整理券でした。ある人気キャラクターのショップで先着受付を開始したところ、想定を超えるユーザーが殺到し、ほぼ一晩メンテナンスをせざるを得ない事象が発生。復旧を最優先で進めても、深夜までアクセスが止まらず、回復までにかなり時間がかかってしまいました。

「チケットが売れるのは、基本的に夜で、ピークは22〜23時頃。まさにその時間帯にシステムが止まってしまったので、事業的なインパクトは非常に大きいものでした。当社にとってはもちろん、チケットを販売しようとしていた主催者にとっても、大きな販売機会の損失でした」と五十嵐氏は言います。

 

設備増強ではなく、待合室でアクセスを制御するという発想

この問題は、単純なサーバー増強では解決できない性質のものでした。

「チケットは、絶対に枚数を間違えられません。また、チケットの種類によっては“整理番号”を発行しますが、これは申込み順に、過不足なく割り当てる必要があります。そのためにはデータベースで重複を防ぐ処理が欠かせず、どうしても処理が重くなる。つまり、設備をいくら増強しても、そのまま性能が上がるわけではない領域なのです。かつ、増強にはコストが膨大にかかるため、抜本的な対策が必要だと判断しました。」

そこで同社は、”システム処理能力を際限なく増強するのではなく、アクセス流入を適切に制御すること”が重要だと判断。複数あるソリューションの中から、最終的にQueue-it の仮想待合室を選びました。

選定にあたっては複数の負荷対策を比較しましたが、以下3つが決め手となったと言います。

  1. APIで待合室の設定や発動を外部から制御でき、自社の監視の仕組みと連動した自動化が実現できること
  2. CDN側への組み込みだけで導入でき、既存システムの改修が小規模で対応できること
  3. チケット業界での採用実績が豊富で、お客様にも待合室の体験が浸透していること

アクセスを弾くのではなく"並んでいただく"方式なので、システムを守りながら先着順の公平性と販売機会を両立できる点が、他の負荷対策にはない強みだと感じました。

導入は、スクリプトをクラウド側の設定に組み込み、監視用アラートの発生条件から実際に待合室へ誘導する部分を実装するのみだったため、非常にスムーズだったと言います。

「導入のハードルは非常に低かったです。また、基本的にはSlackでやりとりいただき、問い合わせをすると、すぐにレスポンスをいただけるため、今でもスムーズにやりとりできています。」

 

予測困難なアクセス集中に備えるため、「複数の待合室」を常時スタンバイ

Queue-itを導入したことでアクセス流入を制御する基盤は整いました。しかし、LivePocketにはもう一つ課題がありました。それは、約7万の主催者を持つセルフサービス型のプラットフォームである以上、「どのページに待合室を適用すべきか」を事前に把握することが難しいこと、そして同時に異なるページでアクセス集中することがあることです。

人気イベントであれば事前にアクセス集中を予測できますが、すべてのチケット販売がそうではありません。突然話題になるイベントや想定外のアクセス集中に対しても、即座に対応できる仕組みが必要でした。

そこで同社は、Queue-itを単に特定イベント向けに利用するのではなく、多数の待合室を常時待機させ、自社のシステム監視アラートと連動して、利用可能な待合室を割り振り、自動的に発動させる独自の運用を構築しました。

負荷状況は継続的に監視されており、事前に設定した閾値を超えると該当ページに待合室が適用されます。どのページでアクセスが急増しても、速やかに流入を制御できる仕組みです。

「あるページで負荷が高まればそのページに、別のページであればそちらにと、状況に応じて必要な待合室が自動的に発動する仕組みです。」

一方で、過去の実績などから大規模なアクセス集中が見込まれる案件については、自動化だけに頼らず事前設定も併用しています。

「過去に大きなアクセス集中が発生した主催者や、発売開始時に高いトラフィックが見込まれる案件については、事前に待合室を設定しています。予測できないアクセス集中には自動発動が有効ですが、確実に負荷が発生すると分かっているケースでは、あらかじめ準備しておく方が確実です。」

LivePocket traffic data

LivePocketのトラフィックデータ。数時間の間に5つのサイトでピークが発生した際、5つの待合室が起動し各ページを保護した図。

ピーク負荷を半減。“見える行列”がもたらした安定とコスト最適化

特に印象的だったのは、システム負荷の削減とトラフィックのスムーズな制御を明確に確認できたことだったと言います。

「システム負荷を知らせるアラートが発生した直後、自動的にQueue-itの待合室へお客様をご案内する仕組みが動きました。その結果、それまで80〜90%近くに達していた負荷が大きく低下し、アクセス流入の制御による効果を実感しました。」

「待合室には1,000人を超えるお客様が待機し、あらかじめ設定した流入ペースに従って順番に販売ページへ誘導されていきます。その状況がダッシュボード上で可視化されるため、アクセス集中時でもユーザーを適切にコントロールしながら販売を継続できていることが分かりました。」

こうした負荷制御は、システムの安定化だけでなくコスト最適化にもつながったと言います。

 

「急激なピークを抑えられるようになったことで、キャパシティを過剰に確保する必要がなくなりました。特にデータベース関連のコストは増強を重ねるなかで大きく膨らんでいましたが、余裕を持って確保していたリソースを見直せるようになり、結果として半分程度まで削減できました。」

LivePocket株式会社 システム開発グループ リーダー  五十嵐亮裕氏

LivePocket logo

また、エンドユーザーからも、スムーズに受け入れられたと言います。

「Queue-itの画面に遷移した際に戸惑うような声はほとんどありませんでした。最近では他社サービスでも利用されているケースが増えていることもあり、自然に受け入れていただけていると感じています。導入に対するクレームもなく、スムーズにご利用いただいています。」

LivePocket

LivePocketのカスタムテーマ

運用面で評価しているのは、システム状況に応じて柔軟に制御できる点です。管理画面から負荷状況を監視しながら、待合室からの流入量を随時調整できるため、実際のアクセス状況に応じたきめ細かな運用が可能になりました。

「システムの状態を見ながら流入量を調整できるため、自分たちでコントロールしながら運用できる安心感があります。」

「Queue-itは、業界内でも広く利用されており、ユーザーにとっても理解しやすい仕組みです。トラフィック対策や負荷対策を検討する際には、まず第一候補として考えるべきかと。仕組みを理解できれば、とても導入しやすいサービスだと思います。」

LivePocket株式会社 システム開発グループ リーダー 五十嵐亮裕氏

Daichi Kimura, Section Chief at System Operation Control Team, SB Payment Service

小さなイベントから数万人規模まで、すべてを支えるプラットフォームへ

五十嵐氏は、Queue-itの活用をさらに深めていきたいと言います。当面の課題は、待合室で待っている間に完売してしまうケースへの対応。メッセージでお知らせする方法と、完売を検知して流出量を上げ、速やかに遷移させる方法。この2つを検討しているといいます。

「30分待ってからページに遷移して初めて完売を知るよりも、待合室の中で早めに気づいていただけた方がいい。まずは提供いただいている機能を、もっと活用していきたいと考えています。」

「待合室のカスタマイズも進めたいですね。待っていただいている間に、広告とまではいかなくても、お客様へ何かお知らせができるようになればと考えています。まだそこまでは至っていませんが、他社の事例も参考にしながら、改善していきたいです。」

現在の利用は、おおよそ1,000〜2,000人規模のイベントが中心。今後は数千人、さらには1万人以上の会場でも使えるサービスを目指します。

「一方で、小さなイベントを扱わなくなるわけではありません。小規模なものから大規模なものまで、すべてのイベントを扱えるプラットフォームであり続けたい。引き続き Queue-itの力もお借りしながら、サービスを改善していければと考えています。」

熱量の高いファンの体験を、システムの安定で支える。LivePocketと Queue-itの取り組みは、これからも続いていきます。

Queue-itで確実・セキュアなチケット販売を