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待ち時間こそビジネスチャンス!待合室のマーケティング活用法12選

公開日:
更新日: 07 8 2024
Digital bilboard with queue page on it

アクセス集中対策として知られる仮想待合室は、実は顧客とのエンゲージメントを高めるマーケティングツールとしても効果的です。ここでは、クロスセルや顧客単価の増加、会員登録促進などの効果がある、「攻めの待合室の使い方」をご紹介します!

限定商品販売や福袋販売、期間限定セール、キャンペーンなど、人気のイベント時のアクセス集中対策として知られる仮想待合室。実は、絶好のマーケティングツールでもあることをご存知でしたか?

待合室は、購買意欲の高い何千人ものユーザーが通過するポイント。ブランド側にとって、絶好のマーケティングの機会です。

HTML、CSS、JavaScriptを組み合わせて自由にカスタマイズできるので、目的に合わせたプロモーションを行うことができ、うまく活用すれば、コンバージョンの向上、クロスセルや会員登録促進、SNSへのエンゲージメント強化など、様々な効果があるのです。

ここでは、Queue-itが過去10年間、数々のブランドにカスタムデザインを提供してきた知見を活かし、待合室をマーケティングツールとして最大限活用するための12種類の方法をご紹介します。

目次
  1. クロスセル効果でAOVアップ
  2. クーポンコード提供でAOVアップ
  3. ロイヤルティプログラム登録の促進
  4. 商品ページとして活用して対象商品のアピール
  5. ソーシャルプルーフの心理でコンバージョン強化
  6. 希少性マーケティングで購買意欲向上
  7. SNSのエンゲージメント強化
  8. YouTubeやSpotifyの再生回数を上昇
  9. インタラクティブな待合室でファーストパーティーデータ取得
  10. アフィリエイトマーケティングで収益アップ
  11. リテールメディアとして活用し広告収入を獲得
  12. 品切れ時の顧客エンゲージメント

 

1. クロスセル効果でAOVアップ

待合室に並んでいる人はすでに対象のブランドに対する購買意欲が高い消費者です。そうした人が一気に集まる機会を狙って自社の他商品を宣伝することで、クロスセルを促し、平均注文金額(AOV)を向上させることができます。例えば、以下のような使い方が考えられます。

  • 新商品発売時に関連商品を宣伝する(ゲーム機販売の場合、アクセサリー商品など)
  • セール実施時に目玉割引を表示する
  • コンサートチケット販売で、近日開催予定のイベントを宣伝する
  • スニーカーの限定モデルを販売する際、コアコレクション一覧を紹介する
Sneaky queue page with full collection embedded

さらに、多くの場合、アクセスが急増するのはある特定の商品やセールイベントのみのため、対象ページを保護しつつ、待っているユーザーが他のページを自由に回遊できるように設定することも可能です。(運用テストを行なった上で実施してください。)

「待合室には何人待っているか表示する機能があるため、人気度を可視化できます。学校で人気者がどんどん人気者になるのと同様、これがあることでブランド力を向上できると思います。また、… 合わせ買いもたくさん見られ、グラス再販中の『その他』の商品の売上も3倍近くになりました。」

HILLS FIELD 取締役 水野大志氏

Hills Field logo

2. クーポンコード提供でAOVアップ

待合室を使ってできる別のAOV増加施策として、割引や優待サービスなどのクーポンコード提供が挙げられます。

例えば、ロンドンの人気現代美術館テート・モダン。特別展のチケット販売時にQueue-itの待合室を使ってオンラインブティックの割引コードを提供しています。

このように、待合室限定のクーポンコードを提供することで、待っている人にお得感、特別感を与えることができます。この心理をうまく利用して、AOVアップに繋げましょう。

Tate Modern queue page with discount code highlighted

「待合室上にバナーを貼り、プロモーションコードとともにショップのウェブサイトにリンクしています。チケット販売の機会を活用して収益を増やせるのでとても重宝しています。」

Tate 商業システム・マネージャー ジョン・ハワース

Jon Haworth Tate logo portrait

3. ロイヤルティプログラム登録の促進

会員やニュースレター登録の促進も、アクセスが集まるタイミングを狙って行いたいマーケティング施策です。最もシンプルな方法は通常の待合室にメール会員登録のフォームを挿入することですが、さらに一歩進んだ方法としてThe North Faceなどのトップブランドが取り入れているのが、招待制待合室です。

招待制待合室とは、ユニークIDなどで認証されたユーザーのみがアクセスできる待合室。会員限定イベントを保護するほか、一般販売を保護する通常の待合室と組み合わせて使うことで、優待サービスをインセンティブに会員登録を促すこともできます。利用場面は会員限定販売を行う際や、または会員と非会員向けにそれぞれ異なる開始時間が設けられている販売時などが挙げられます。

例えば、会員限定販売を行う際に以下のような導線を作り、非会員のサインアップを促進しましょう。

  • 対象となる限定販売の招待制待合室を設置する
  • 販売開始当日、その場で会員登録を行うことで限定販売に参加することができることを引き続き案内。また、限定販売に参加するためのCTAをウェブサイトに設置し、非会員の登録を促す。

Queue-itを利用中の某大手スニーカーブランドでは、会員限定の販売時に招待制待合室を導入。販売当日、「会員登録して限定販売に参加」を促すCTAをウェブサイトに追加したところ、2度にわたる販売で約48,000人の新規会員を獲得しました。

また、Bedre Nætter(ベドレ・ネッター)では、ブラックフライデーセール実施時に、会員向けの先行開始時間(20時)と一般顧客向けの開始時間(深夜)の二枠を用意。セールに向けてサイト全体を待合室で保護し、プレキューページ上で「会員登録して4時間早く販売に参加」を促すCTAを表示したところ、このページにアクセスしたユーザー中25%がVIP会員に新規登録しました。

Bedre Naetter queue page

Bedre Nætterのプレキューページ、オリジナルのデンマーク語(右)と英語版(左)

「招待制待合室を通過したユーザーはコンバージョン率が高く、開始11分間でその日の売上目標を、3時間でその週全体の売上目標を達成することができました。」

Bedre Nætter Eコマース&パフォーマンス責任者 マーカス・フォルスバーグ

Marcus Forsberg Bedre Naetter logo portrait

4. 商品ページとして活用して対象商品のアピール

限定商品や新商品販売などの場面では、待合室を商品ページのように使って効果的に商品をアピールすることで、購入意欲を高め、ブランドへの好感度を上げることができます。

商品画像や詳細情報、サイズガイド、配送情報といった実用的な情報から、バックグラウンドストーリーなどのブランディングコンテンツまで、あらゆる要素を掲載することができます。(「カートに入れる」やリアルタイムの在庫更新などの機能は除く。)

Luxury bag queue page

例えば、Queue-itを利用するイギリスの某大手ゲーム会社は、新しいオンラインゲームの発売時に待合室のカスタマイズ機能を最大限に活用。ゲームの世界観を巧みに表現したデザインで、キャラクター紹介やルール説明、各国の予約開始時間などを表示し、ゲームファンの心を掴む待ち時間を提供しました。

5. ソーシャルプルーフの心理を利用してコンバージョン強化

また、仮想待合室を使う多くの企業から聞くのが、コンバージョン率が向上したというコメントです。この要因の一つとして、ソーシャルプルーフ効果(他人がすることを基に自分の行動を決めること)が挙げられます。

待合室は、需要の高い商品発売やセール時に使われるソリューションで、言ってみれば人気の度合いの象徴。満席のレストランの方がそうでないレストランよりも魅力的に感じたり、話題の映画や人気のテレビ番組を見たくなるのと同様、待合室に並んでいる消費者は、対象商品の人気度を再確認し、さらに購買意欲が高まるのです。

Waiting room queue page with number of people waiting ahead

「待合室は、自分以外にも大勢の人が興味を持っていることの表れなので、ユーザーは『このイベントは人気があって完売しそうだ、チケットを買わなければ』という気持ちになります。だから、行列ができるような販売ではコンバージョン率が高くなるのだと思います。」

Sympla 技術責任者 ミハイル・パス

Sympla logo

6. 希少性マーケティングで購買意欲向上

「数が限られていること」という意味の希少性。限定品であればあるほど価値が上がるというメカニズムを利用して、多くのブランドがマーケティング戦略に取り入れています。

希少性の高い商品は、競争率も高くなります。実際、ロバート・チャルディーニ博士は、著書『Influence: The Psychology of Persuasion(説得の心理学)』の中で、「人はある商品を目当てに競争しているとき、一番購買意欲が高まる」という研究報告をしています。

この心理を利用して、「数量限定」「期間限定」「大人気」といった文言を待合室に表示することで、人気度と希少性をアピールし、購買意欲の向上につなげることができます。

例えば、以下のNikeの限定販売の通知では、注目を集める呼びかけ、限定性アピール、人気度アピール、希少性の高さをうまく取り入れた説明になっています。

Scarcity marketing example from Nike

また、待合室のオプション機能「リアルタイムメッセージ」を使って最新の在庫情報や売切れた商品の情報を表示することもお勧めです。このように見せ方を工夫することで、「自分が買わなければ誰かが買ってしまう」という競争心に火をつけ、購買意欲をかき立てることができます。

7. SNSのエンゲージメント強化

待合室を活用して、ソーシャルメディアのエンゲージメントを高めることもできます。例えば、以下のような使い方が考えられます。

  • 「最新情報をチェック」といったコピーと共にソーシャル・チャンネルへのリンクを掲載する
  • TikTok、Instagram、Xのブランド投稿やフィードを埋め込む
  • 待合室上に対象の販売イベントやキャンペーンのハッシュタグを掲載しシェアを促す
  • SNS企画(コンテストやプレゼントキャンペーンなど)を宣伝する
  • ビジターが待合室ページや自分の並んでいる場所を直接SNS上で共有可能にする

ロンドンのYoung Vic Theatreは、チケット販売時の待合室にXフィードやYouTubeビデオ、メーリングリスト登録を促すなど盛りだくさんのコンテンツを埋め込むことで、待ち時間の価値を最大限にブランドに還元しています。

Young Vic queue page with twitter feed & YouTube video embedded

8. YouTubeやSpotifyの再生回数を上昇

待っているユーザーを待合室画面に留めておきたい場合におすすめなのがYouTube動画やSpotifyのプレイリストの埋め込み。ユーザーが別ページに遷移するのを防ぐとともに、自社コンテンツの再生回数を増加させることができます。例えば、音楽フェスやコンサートのチケット販売の際にイベントのカスタムプレイリストを待合室に挿入し、「いいね!」や「フォロー」を促進する手法もよく見られます。

また、Queue-itを利用中のある企業が待合室にブランドビデオを挿入したところ、YouTubeビデオ再生回数が10万回を超えました。平均すると、待合室に並んだ4人に1人が閲覧したことになります。

Movie tickets queue page example with embedded video

9. インタラクティブな待合室でファーストパーティーデータ取得

ブランドのファンが多く集まる機会は多くありません。そのため待合室は、これからのマーケティングで欠かせないファーストパーティーデータを収集する絶好のチャンスです。

そのタイミングでインタラクティブコンテンツ(アンケートやクイズ、ミニゲーム)付きの待合室を設置することで、メールアドレスなどだけではなく、顧客の好みや要望に関するデータを入手し、将来の商品開発やマーケティング戦略に活かすことができます。

アパレル企業なら 「次に欲しいスニーカーの色」を選択型で質問、航空会社なら「次のバケーションは自然でまったり?都市観光?」という二択質問、イベント運営会社なら「このイベントをどのようにして知りましたか?」と問いかけるなど、自社の事業拡大につながるコンテンツを入れてみましょう。

Luxury bag queue page with quiz

10. アフィリエイトマーケティングで収益アップ

「自社の待合室上で他社商品を宣伝するなんて」と思う方もいるかもしれません。ですが、正しく宣伝すれば、相互利益に繋げることができます。

自社商品やサービスを補完する企業を見つけて正しく宣伝すれば、あなたの企業にとっては広告枠提供によって収益がアップし、パートナー企業にとっては新規顧客の獲得につながり、消費者にとっては利便性が向上すると、各方面が恩恵を受けられる体制を整えることができるのです。

例えば、Queue-itを利用するイギリスの某大手サッカークラブでは、観戦チケット販売時の待合室にパートナーの航空券・宿泊施設予約サイトのバナーリンクを掲載しています。観戦チケットを入手するファンの多くが、同時に交通手段や宿泊施設も必要になるというニーズをうまく汲み取った宣伝になっています。

その他にもこのような例が挙げられます。

  • 航空券販売時の待合室に旅行保険へのリンクを挿し込む
  • キッチン用品販売時の待合室で野菜宅配の定期購入を促す
  • スポーツ用品販売時の待合室でフィットネスアプリのダウンロードを促す
  • 手芸イベントチケット販売で画材店へのリンクを挿入する
Childrens camp registration with affiliate marketing

11. リテールメディアとして活用し広告収入を獲得

近年右肩上がりで成長を続ける「リテールメディア」。実店舗業種やEC事業者が提供するオンラインメディア広告のことで、バナーやホームページ機能、レコメンデーション・パネル、検索機能などを使って特定のブランドの商品を宣伝する代わりに、課金する仕組みになっています。

米ウォルマートやアマゾンなど大手小売業者が先駆を切り発展させたこの宣伝手法は、日本でも2027年には売上額が9332億円に達する(EC事業者が提供するデジタル催促の15%以上)と予想されています。

アクセスが集まる販売時に待合室をリテールメディアとして活用することで、ブランドはエンゲージメントの高い消費者に対して自社商品を宣伝でき、EC事業者は広告収入を獲得することができると、まさに一石二鳥の関係を作ることができます。

Black Friday queue page with highlighted retail media example

12. 品切れ時の顧客エンゲージメント

人気販売時によくある「品切れ」。単に売り切れページに遷移するだけと、消費者(ユーザー)は落胆してしまいます。Queue-itのポストキュー機能を使えば、買い損ねてしまった顧客に対して「次のチャンス」を与えることができます。例えば、再入荷の通知を受け取るためニュースレターに登録を促したり、次回販売の先行アクセスをインセンティブに会員プログラム登録を促したり、類似の商品やオファーを紹介したりすることができます。

Sneaky post-queue page saying "sign up for the next drop"

Queue-itのカスタムテーマと待合室を使ってできることの詳細については、こちらをご覧ください:

待合室で顧客エンゲージメントUP