Direct Pass、BYO CDN、Double Queue Exemption、そして高度なセッション保護機能など、Queue-it コネクタに大幅な機能強化が加わりました。今回のアップデートは、ここ数年で最も大きな信頼性・セキュリティ・トラフィック制御の改善のひとつです。本記事では、最新版コネクタで利用できる新機能をご紹介するとともに、アップグレードによって得られるメリットを解説します。
Queue-it コネクタは、お客様のシステムとQueue-itのオンライントラフィック制御プラットフォームをつなぐ統合レイヤーです。アクセスしてきたユーザーを評価し、待合室へ誘導するかどうかを判断するとともに、サイト上でのセッションを検証する役割を担います。
この1年で、Queue-itは20種類以上のコネクタに対して数多くのアップデートを実施してきました。セキュリティ強化、可用性向上、運用柔軟性の拡充を目的に、BYO CDN、Direct Pass、Double Queue Exemptionなどの新機能を提供しています。
本記事では、これらの新機能の概要と、それぞれのコネクタバージョンで利用できる機能の違いについて詳しくご紹介します。
BYO CDN(Bring Your Own CDN、既存CDN活用オプション)は、Queue-itの導入アーキテクチャを大きく変える新しい構成です。
従来は、待合室利用時にユーザーのブラウザが直接Queue-itへ接続していました。一方、BYO CDNではお客様のCDNがフロントに配置され、Queue-itとの通信を仲介します。
つまり、Queue-itが独立した外部サービスとして動作するのではなく、お客様のCDNの背後で稼働する形になります。
これにより、既存のエッジ環境内でトラフィックを完結させることが可能になります。すでに利用しているボット対策、WAFルール、トラフィック管理の仕組みとQueue-itをシームレスに連携できるため、別システムとして運用する必要がありません。
BYO CDNの主なメリット
- セキュリティ統合の強化: CDNのボット対策機能やWAFとQueue-itを組み合わせて利用可能
- 同一ドメインでのユーザー体験: 待合室利用中もユーザーを自社ドメイン内に維持
- データフローを柔軟に制御: ヘッダーやCookieの管理、およびQueue-itへの転送内容を制御可能
- 運用負荷の軽減: 証明書管理やルーティングを既存CDN環境で一元管理
- パフォーマンス向上: 最適化済みのエッジネットワーク内でトラフィック処理を継続
簡単に言えば、待合室体験全体をお客様自身のエッジインフラ上で完結できるようになるのがBYO CDNです。

なお、BYO CDNの利用にはホワイトラベルオプションおよびエンタープライズプランが必要です。
現在はAkamai、CloudFront、Cloudflare、Fastlyに対応しています。ご質問のある方はQueue-itサポートもしくはヘルプセンターにお問い合わせください。(Queue-itのログインアクセスが必要になります。)
Direct Passは、待合室を必要としない通常時のアクセス処理を最適化する機能です。
これまでは初回アクセス時に必ずQueue-itを経由するリダイレクト(HTTP 302)が発生していました。
Direct Passでは、コネクタがまずの有無を判定し、待合室が必要な場合のみリダイレクトを実施します。
つまり、Queue-itは引き続きトラフィック制御の判断を行いますが、待合室が発生していない通常時にはユーザーのアクセス経路に介在しません。
Direct Passの動作フロー
保護対象ページへのアクセスが発生すると、
- リクエストがCDNまたはオリジンサーバーへ到達
- コネクタが以下を確認
- 保護対象パスか
- 有効なQueue Tokenを保持しているか
- 検証が必要な場合のみ (有効なQueue Tokenを保持している場合のみ)Queue-itへコール
- 判定結果に応じて
- 待合室が未稼働 → そのままオリジンへ転送
- 待合室が稼働中 → 待合室へリダイレクト

Direct Passの最大の特徴は、リダイレクトが標準的な処理フローの一部ではなく、必要な場合にのみ実行される仕組みになったことです。
Queue-itをご利用いただくお客様にとっては、次のようなメリットがあります。
- 平常トラフィック時はリダイレクトの発生なし: 待合室が稼働していない場合、リクエストは不要な往復通信を行うことなく、通常のアクセス経路をそのまま通過します。
- ピーク時以外のQueue-itへの依存を軽減: Queue-itは待合室の稼働状況を確認するために参照されますが、すべてのリクエストのリダイレクト経路に含まれるわけではありません。
- 接続障害時にはフェイルオープンで動作: 何らかの理由でQueue-itへ接続できない場合でも、リクエストはそのまま処理されるため、通常トラフィックへの影響を最小限に抑えることができます。
- 待合室稼働時は従来どおり確実に制御: トラフィック保護が必要な状況では、これまでと同様の待合室制御が適用されます。待合室を利用したアクセス制御の挙動に変更はありません。
- 待機対象でないユーザーの遅延を削減: リダイレクト処理を経由しないため、待合室に並ぶ必要のないユーザーは、より短時間でオリジンサーバーへ到達できます。
Direct Passはコネクタ v5以降で利用できます。執筆時点では、Akamai、CloudFront、Cloudflare、Fastly、Tencent向けコネクタが対応しています。
Direct Passの詳細や、コネクタv5へのアップグレードをご希望の場合は、Queue-itサポートへお問い合わせいただくか、Queue-itヘルプセンターをご参照ください(閲覧にはQueue-itアカウントでのログインが必要です)。
Double Queue Exemptionは、同一ドメイン上で複数の待合室を同時運用するケースを想定した機能です。
特に以下のようなケースで効果を発揮します。
- 招待制(Invite-only)待合室と通常の待合室を併用する場合
- 同一サイトで複数商品の販売を同時実施する場合
- コンサートチケットや限定商品の販売イベント

上の図は、2つの待合室を同時に運用しているQueue-it導入企業における、典型的な構成例を示しています。
この例では、すべての購入ユーザーが通過する決済ページを保護する待合室と、特定の商品ページや販売用サブドメインを保護する別の待合室の2つが稼働しています。
従来の構成では、商品ページへのアクセス時にすでに待合室を通過したユーザーであっても、決済ページへ進む際に再度待合室へ誘導される可能性がありました。
Double Queue Exemptionを利用すれば、このようなユーザー体験の低下を防ぐことができます。たとえば、図中のビジターBは最初の待合室を通過した時点で、後続の待合室の対象外となるため、再度並び直す必要はありません。
Double Queue Exemptionにより、複数の待合室を同時運用する複雑なユーザー導線でも、効率的かつ公平なトラフィック制御が可能になります。特にサイト全体でアクセスが集中するピーク時において、高い効果を発揮します。
設定は、インテグレーションルールのキューアクション、およびキャンセルアクションから行えます。
以下の表では、Queue-it コネクタの各世代(v3、v4、v5)で利用できる機能をご紹介します。
現在旧バージョンのコネクタをご利用の場合、この表を見ることで、どの機能が利用できていないのか、またアップグレードによってどのようなメリットが得られるのかを簡単に確認できます。
Queue-itが現在サポートしているコネクタのバージョンについては、Connector Support Frameworkをご参照ください。
| コネクタ機能名 | 概要 | メリットと使用場面 | v5 | v4 | v3 |
|---|---|---|---|---|---|
| Direct Pass |
Queue-itへのリダイレクトを経由することなく、保護対象ページへのアクセスを直接許可する仕組みです。 |
「24/7待合室」を利用しているお客様の場合、通常時のアクセス経路からQueue-itへの依存を排除できるため、可用性の向上とレスポンス速度の改善につながります。 |
✅ | ❌ | ❌ |
| Bring Your Own CDN |
ユーザーを直接Queue-itへ転送するのではなく、待合室に関わるすべてのトラフィックをお客様自身のCDN経由で処理します。
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Akamai Bot ManagerをはじめとするCDNのボット対策機能との連携、Cookieやヘッダーの制御、一元的な証明書管理、同一ドメインでのユーザー体験の実現などが可能になります。 |
✅ | ❌ | ❌ |
| Double Queue Exemption |
すでに1つの待合室を通過したユーザーが、同じ導線の中で別の待合室に再度リダイレクトされることを防ぎます。
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招待制待合室と一般向け待合室を併用するケースや、同一サイト上で複数の販売イベントを同時開催するケースなど、複雑な構成をシンプルに運用できます。
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✅ | ✅ | ❌ |
| IP Binding (beta) |
ユーザーのセッションをIPアドレスと関連付け、ユーザージャーニー全体、または指定したステップで検証します。 ※ベータ版提供中。先行利用をご希望の場合はQueue-itサポートへお問い合わせください。
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別のネットワークや別端末から同じセッションを利用できないようにすることで、セッション共有やCookieの不正利用を防止します。
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✅ | ✅ | ❌ |
| Verify Action (beta) |
同じQueue IDを持つユーザーが特定のアクション(カート追加、決済画面への遷移など)を何回実行したかを確認し、設定された上限を超えた場合はアクセスをブロックします。 ※現在Akamai コネクタでベータ提供中です。先行利用をご希望の場合はサポートへお問い合わせください。
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保護対象の導線内でユーザーごとのアクション回数を制限し、大量購入などの不正行為を防止します。
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✅ | ✅ | ❌ |
| Ignore Action |
あらかじめ指定したIPアドレスを待合室の対象外にします。
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社内スタッフ、監視ツール、正常なボット(稼働監視など)が待合室を経由せずに保護ページへアクセスできるようになります。
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✅ | ✅ | ❌ |
| Cancel Action |
指定したアクションを実行した後に、ユーザーのセッションを無効化します。
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一度限りのアクセスや購入回数の制限を実現できます。たとえば購入完了後にセッションを無効化し、再度購入する際には待合室へ並び直してもらうことで、キャパシティの確保や買い占め防止、公平性の維持に役立ちます。
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| Enqueue Token |
待合室へ入場するために必要な短期間有効の電子署名付きトークンです。v4以降のコネクタでは自動生成されます。
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コネクタ経由で保護対象サイトからアクセスしたユーザーのみが待合室へ入場できるようにし、ボットやURLでの直接アクセスによる不正な入場を防止します。正しいトークンを持たないユーザーは待合室に入れません。
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| HTTPOnly or Secure cookie flags |
Queue-itのセッションCookieにHTTPOnly属性およびSecure属性を設定します。
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HTTPOnly属性によりクライアントサイドのスクリプトからCookieを参照できなくなり、XSS攻撃によるリスクを軽減します。またSecure属性によりCookieはHTTPS通信時のみ送信されるため、盗聴リスクを低減できます。
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| Request Body Trigger |
POSTリクエストのペイロード内容を条件として判定できるIntegration Ruleです。 ※Akamai、Salesforce、Fastly、Lua、Magentoでは利用できません。 |
URLが同じでも、リクエスト内容に応じて保護対象を細かく設定できます。たとえば、同じ商品一覧ページでも特定商品のみをカート追加時に保護するといった運用が可能です。
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| Integration Rules |
どのページを保護対象とし、対象リクエストに対してQueue・Ignore・Cancelのいずれを実行するかを定義するルールベースの設定機能です。
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待合室の設定をGO Queue-it PlatformおよびAPIに集約できるため、コード変更なしでルールを更新・反映できます。柔軟なトラフィック制御を実現します。
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| Hybrid Queue Client JavaScript |
クライアントサイドJavaScript コネクタとサーバーサイドKnownUser保護を同一サイト上で組み合わせる構成です。
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ページアクセスはサーバーサイド保護で制御しながら、AJAXやfetch通信についてはクライアントサイドでも保護できます。待合室を重複させることなく、より広範囲な保護を実現します。
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| Verification of the Queue-it Token & Queue-it Cookie |
待合室から返されるQueue-it Tokenを検証し、保護ページへのアクセス権を付与するセッションCookieの発行・検証を行う、コネクタの中核機能です。
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正規の手順で待合室を通過したユーザーのみが保護対象コンテンツへアクセスできることを保証する、Queue-itの基盤となるセキュリティ機能です。
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今回のコネクタアップデートでは、特に可用性とセキュリティの強化に重点を置いています。
BYO CDNは、トラフィックをお客様のエッジ環境内で完結させることで、ルーティングやセキュリティ、パフォーマンスに対するコントロールを強化。既存のCDN基盤を活用しながら、より一貫したトラフィック管理を実現します。
Direct Passは、待合室が不要な平常時のリダイレクトを排除することで、レスポンス速度と耐障害性を向上。ユーザー体験の改善とシステム負荷の軽減の両立が可能になります。
さらにDouble Queue Exemptionにより、複数の待合室を運用する環境でも、ユーザーが不要な再待機を強いられることなくスムーズに移動できるようになりました。複雑な導線設計においても、柔軟かつ公平なトラフィック制御を実現します。
これらの機能強化によって、アクセス集中時はもちろん、通常時を含めたあらゆる場面で、より安定したトラフィック制御と一貫性のある保護を提供できるようになっています。
現在も旧バージョンのコネクタをご利用の場合、こうした可用性やセキュリティ面での重要な改善を活用できていない可能性があります。
v4およびv5 コネクタは現在リクエストベースで提供中です。アップグレードをご希望の際は、Queue-it Help Centerまたはカスタマーサクセス担当までお問い合わせください。お客様の環境に合わせた移行方法や機能活用についてご案内いたします。
コネクタの対応機能やサポート状況の最新情報については、Connector Support Tableをご参照ください。